弊社の目指す、人づくり

人を育てられる人を育てる

 弊社はこれまで、人を育てられる人を育てるというコンセプトを、「学生スタッフ」活動として形にしてきました。「学生スタッフ」活動の主な取り組みは、「学生スタッフ」である先輩学生が新入生のITスキル修得のための講座を運営するというものです。当然ながら、年次が上がれば、その役割は後輩スタッフの育成へとレベルアップしなければなりません。弊社は「研修事業」を通して「学生スタッフ」の育成を支援してきました。

 「学生スタッフ」として、人を育てられるようになるためには、自己研鑽を必要とします。この状況こそが、責任意識と主体性をその人の根底から育みます。
 責任意識は、自分に対しては、やると決めたことをやり遂げようとするモチベーションになり、周囲に対しては、ポジティブな影響を与えようとする貢献意欲を高めます。言われたことをするから、自らするというマインドセットが必要になるからです。

 弊社の取り組みに関わった学生たちは、取り組みを通してみるみる成長し、胸を張って社会に巣立ち、職場に元気を広げる活躍しています。

 弊社は創立20年を機にこれまでの事業をふりかえり、これからの事業を展望しました。「人を育てられる人を育てる」という、これまでの事業コンセプトはぶらさずにさらに、前進するために考えた方針は以下の3点です。

イノベーションを創出できる人財を育む人財づくりとして「STEAM」に取り組んでいく
・大学生を対象とした限定的な事業を子どもたちや社会人に拡大していく
・ICT技術を活用し、時間場所の限界を超えて学びの機会を拡大していく

  ここからは、弊社が「STEAM」に取り組むことを決断した理由と具体的な取り組みを説明します。

日本にイノベーションが求められる根本背景

出典 日本の将来推計人口(平成29年推計) | 国立社会保障・人口問題研究所

 グラフは、1965年から2065(推計)年までの生産年齢人口(15〜64歳)と、非生産年齢人口(0〜14歳+65歳以上)の推移です。1965年当時、非生産年人口に対して2倍あった生産人口が、2015年時点で約1.5倍に、現在から約25年後の2065年にほぼ1倍にまで減っていくことが分かります。
 日本の年金制度は1961年から始まっていますが、右肩上がりの人口増加や経済成長を前提にした設計でした。現在、年金制度に留まらず様々な社会保障制度への影響が懸念されています。

 グラフは、西暦を横軸にとった日本の人口の推移です。様々な未来予測の中でも人口変動はとても確度が高いと言われています。このグラフからは、日本の歴史上はじめて人口の減少局面に入ったことが分かります。しかも、急坂を転げ落ちる石のようにです。
 今10歳の子どもたちが後期高齢者になるころには、現在約1.3億人の日本の人口は約半分の6000万人になることが予想されています。少子高齢化が社会問題として話題にされるようになって久しいのですが、仮に出生率を上げることができたとしても、人口減少を多少緩やかにする程度のことだと分かります。
 この人口の減少が、日本の社会にどのような影響をもたらすか識者によって様々な警鐘が発せられています。
 ここではその子細には立ち入りませんが、確かなことがあります。
 これまでの上手くいった方法やその背景にある考え方のそのほとんどが、社会的リスクになる可能性が大きいことです。ですから、これまでの考え方の延長線上にある改善ではなく、これまでの常識を覆すような社会的なイノベーションが求められています。国連の開発目標であるSDGsの訴える持続可能性も、このような現実認識がその背景があります。

抜本改革が始まっている公教育

 2021年の4月より、小学校の学習指導要領が刷新され、これに基づく教育課程に変わっています。これまでも徐々に変更されてきていますが、その変化の方向性が明確に示されています。一般には、プログラミング教育や外国語学習の導入、1人1台のパソコンを実現する「GIGAスクール構想」など、分かり易い表面的な現象だけが話題に上がっていますが、その本質は子どもたちに対する見立てと、学びのゴール設定の変化です。

 図は、文部科学省の示した「未来の教室」の概念図です。「学びのSTEAM化」と「個別最適化」をICTの活用によって実現し、「子どもたちを『教わる客体』から『学ぶ主体』へ」と捉え直しています。

 同じ年齢の子どもたちが、同じ学年で同一内容を教育することから、一人ひとりの興味関心や学力に合わせた学びの提供と、STEAMと呼ばれる文系と理系の知識を横断した学びの提供を実現しようとしています。そこで目指されているのは「創るために、知る学び」です。 誤解を恐れず端的に表現すれば、従来の学びを通して身につける知識や考える力は偏差値の高い大学に入るためものでした。多くの親とその子どもたちに期待されていたのは有名な大企業への就職でした。もはや時代にそぐわないと多くの人が気づき始めています。大人はもちろん、子どもたちもです。

日本の現状と総合学習の取り組み

 グラフは、日本財団が2019年に行った「18歳意識調査」の国際比較です。「将来の夢を持っている」「自分で国や社会を変えられると思う」など最下位の結果です。将来に対するあきらめが滲み出ています。これが日本の現状です。残念ながら、未来に無限の可能性を感じ、これから多くのことを積極的に学んでいこうという気持ちは感じられません。

  新しい教育課程が目指しているのは「創るために、知る学び」でした。そしてこの学びは、「自分で国や社会を変えられる」力を養うためものであることは間違いありません。そしてこの学びは、こどもたちが「ワクワク」し「夢中」になって取り組むものでなくてはならないとしています。

 具体例として、京都新聞に掲載されたある小学校の5年生の総合学習の事例を紹介します。この授業は、地域課題に商店街やNPO、福祉団体、地元の大学が協力して取り組まれたものです。
 学校のある地域は、市内で2番目の高齢者人口を抱え、独居世帯も多く、急な坂道で買い物が不便な環境で引きこもりがちになる傾向があります。出歩かないことが原因となって介護要支援者が増えると懸念されています。また、竹が特産品として有名な地域ですが、放置竹林やゴミの不法投棄が問題になっています。
 授業はこのような地域課題を、様々な団体と協働して解決をはかるという内容です。放置竹林の周囲に散歩コースを設定する。ここに、高齢者でも時々腰を下ろして休憩することができる竹製のベンチを設置することで、健康問題を解決する。また、放置竹林の周りを散歩コースにすることで、人通りを増やし不法投棄も防ぐというものです。
 子どもたちは、学区内の竹林の見学による問題の発見からはじまり、解決に向けて地域の多様な人と交流し、竹ベンチや啓発ポスターを作成します。子どもたちの関わりによって社会をよくする教科横断的で創造的な取り組みとして注目された授業です。

 現在、このような学びが全国の小学校、中学校、高等学校に少しずつですが確実に広がっています。

これからの教育のキーワード「STEAM」

 今始まっている教育改革を端的に表すキーワードが「STEAM」です。STEAMとは、Science、Technology、Engineering、Art、Mathematicsの頭文字を取った造語で、①文理の知識を総動員し、②課題解決や価値創造のための試行錯誤をワクワク行う学びを指します。

 実は、STEAMはアメリカの教育政策に端を発し、今や全世界に広がっているコンセプトです。それはOECDが提唱した21世紀スキルと呼応し、様々な国の教育の方針に落とし込まれています。

 OECDの提唱した21世紀スキルは4つのCで端的に示されています。

また、STEAMによって育まれる態度は次の3つであるとしています。

  1. 型にはまらない think out of the box
  2. ひとまずやってみる give it a try
  3. 失敗して、前進する fail forward

 これまでの日本の教育のイメージとしてかけ離れています。みんなと同じ内容を同じような速度で、同じようにできるようになることを目指した教育課程とは見事に反転しています。

多忙を極めストレスフルな教育の現場

 文部科学省が教育改革の旗を振る一方で、子どもたちと直接接する現場の先生は多忙を極めています。
 平成28年度の文部科学省「教員勤務実態調査」によれば、小学校教員の33.5%、中学校教員の57.7%が週60時間以上勤務(20時間以上の残業)をしていることが分かりました。月すれば80時間以上となり、過労死ラインを超える時間外労働時間です。

 時に、先生の問題発言や問題行動、時代遅れで理不尽な校則などがマスコミの紙面に紹介されます。しかしながら、常に世間の目にさらされ、多忙を極め、様々な家庭の事情を抱え込まざるを得ない状況に中で、相当な精神的ダメージがあるであろうことは想像に難くありません。

 つまり、「これからはSTEAM教育だ」「1人1台パソコンを活用した授業だ」という声は、現場の先生にとっては、ストレスの原因が増えただけかもしれないのです。

STEAM教材開発プロジェクト「STEAMクリエイターズ」の発足

 STEAM教育の目指す学びは、間違いなく現在の日本社会が実現しなくてはならない学びです。STEAM教育によって得られる姿勢やスキルは、変化の激しいこれからの時代を逞しく生きなければならない子どもたちにとって必要なものです。

 STEAM化が進まない現状を少しでもサポートできないか?

 そこで弊社では、インターンの大学生の協力の下、STEAM教育の教材の開発プロジェクト「STEAMクリエイターズ」をスタートしました。安価で手に入る材料で、現状の授業の中で活用でき、「子どもが夢中になる」教材です。教材は、紹介動画と指導案によって構成され、教材を手にした現場の先生が自分の得意を活かして教科横断的な学びにつなげられる手掛かりになることを目指しています。 教材開発プロジェクトは主に将来教員を目指している大阪教育大学の学生がリーダーを担当しています。そこに、情報、理工系の学生も協力して、まさにSTEAMな議論を交えながら少しずつ形にしはじめました。

 プロジェクトに参加した学生が将来、様々な企業でイノベーティブ人財として活躍するのが楽しみです。

STEAM人財を育てられる人財づくりを目指して

 今教育の世界で実現しようとしている21世紀を生きる人財に必要な4つのCと、3つの態度を育む教育は、従来考えられていた社会に出るまでの期間に限定して捉えるのはもはや時代遅れだと考えます。

 こどもたちだけでなく、社会人も学び続けなくはならない時代だからこそのSTEAM教育だからです。
 問題を発見し、ワクワクしながら前のめりに学び、多様な人とオープン協働することでイノベーティブなサービスや商品を創出することが求められているからです。

 弊社は、STEAM人財を社会に増やすことに貢献したいと考えています。そのためのコンセプトが「STEAM人財を育てらられる人財づくり」です。 これからの時代はオープンイノベーション、「競争」ではなく「共創」です。共に学び、共に汗かき、共に成長できる様々な人や組織との関わりも広げていきたいと考えています。